ごあいさつ
授業研究という独自の文化をもつ日本の先生方の指導力は、PISA・TIMSS等の国際調査結果から明らかになったように、とても高い水準にあります。ところで、私たちの社会は、情報通信技術に加えて人工知能技術の進展によるかつてないほどの大きな変革が起きています。このような時代の中で先生方に一層求められる指導は、将来に渡って人生を切り拓いてより良く生きるために必要な資質・能力の基盤を生徒に育成することです。この資質・能力の育成を踏まえて、平成29年告示の新しい学習指導要領では、単元や題材のまとまりの中で、習得・活用・探究の学習プロセスを適切にカリキュラム・マネジメントした「指導と評価の一体化」を図った日々の授業改善が示されました。
さて、小学校、中学校、高等学校や教育センター等の先生方の研修に参加させていただいていますと、特に探究の学習プロセスの授業設計や主体的に学習に取り組む態度の評価について困惑されておられる先生方が少なくないと感じていました。そこで、先生方と協働して理科の授業改善に取り組んでいくために、「中学校・高等学校理科の授業研究応援サイト」を開設しました。初任の先生方に限らず、困っていらっしゃる先生方等どなたでもお気軽にご相談くださるのをお待ちいたしております。
なお、応援サイトの運用は、科学研究費補助事業を受けて進めております。
研究代表者 岡山理科大学 教育推進機構 教職支援センター 藤本 義博
応援スタッフ紹介
高等学校物理 文部科学省初等中等教育局 遠山 一郎(トオヤマ イチロウ)教科調査官
高等学校化学 文部科学省初等中等教育局 野内 頼一(ノウチ ヨリカズ)教科調査官
高等学校生物 文部科学省初等中等教育局 藤枝 秀樹(フジエダ ヒデキ)視学官
高等学校地学 岡本 弥彦(オカモト ヤスヒコ)教授(岡山理科大学教育推進機構教職支援センター)
中学校理科 国立教育政策研究所 小倉 恭彦(オグラ ヤスヒコ)学力調査官
中学校理科 国立教育政策研究所 神 孝幸(ジン タカユキ)学力調査官
中学校理科 国立教育政策研究所 後藤 文博(ゴトウ フミヒロ)元学力調査官
授業研究応援の概要
- Stigler(1992)が日本の授業研究を紹介して以来、日本の先生方にとっては当たり前の授業研究の文化は諸外国で注目され続けています。
- LewiS.C.C.(2011)は、「教師は、授業研究によって①授業のための指導方法、②授業研究のPDCAサイクル、③教師の職能成長(同僚生)等に関する能力を育成できることを示唆しました。
- 日本の先生方の優れた授業研究の伝統的文化により、理科教育における観察・実験の結果を分析・解釈する能力に関しては改善傾向にあります。
- 一方、観察・実験の計画といった構想する力などの科学的に探究する能力を育成することや学習意欲を向上させることが引き続き課題であり続けたり、主体的・対話的で深い学びの実現やカリキュラム・マネジメントといった新たな課題も求められたりするなど、今までの授業研究のあり方を改善する必要があります。
- そこで、理科教員が学び続けるために核となる授業研究を応援するための「中学校・高等学校理科の授業研究応援サイト」を開設しました。
- 文部科学省で学習指導要領や国立教育政策研究所で全国学力・学習状況調査に従事されている視学官・教科調査官・学力調査官の先生方や、理科教育、授業研究の研究者の先生方がチームを組んで、理科の先生方の授業研究を応援します。
ご参加の手順
- 問い合わせフォームでご連絡ください。
ご所属、お名前、電話番号、メールアドレス、お問い合わせ内容(単元や題材、授業予定日、学習指導案の概略) - 授業研究グループ(イメージ図参照)を編成して、SLACKの意見交換掲示板で応援いたします。